太陽光業界の未来と営業の進化――信頼を築く新戦略 営業なのに無理な売り込みなし?新時代の太陽光ビジネスとは「安定×成長!再生可能エネルギー業界で築く新しいキャリア」

「再生可能エネルギーに興味がある」 「営業は厳しいと思っているけれど、仕組みや考え方を知りたい」 「新しい働き方に挑戦したい」

近年、再生可能エネルギー市場は大きな転換期を迎えています。特に太陽光業界では、これまでの強引な訪問販売のイメージを払拭し、新たな販売手法やマーケティング戦略が重要視されています。今回は、太陽光業界の実態と未来の展望について、山崎さんにお話を伺いました。

若手が活躍する太陽光業界のリアル

本日はよろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。早速ですが、太陽光業界にはどんなイメージを持っていますか?

失礼かもしれませんが、押し売り営業!というイメージがあります。

いえ、大丈夫ですよ。そうですよね、それこそ電話が急にかかってきたりとか家に来たりとかして、一旦話聞いてもらったら、そこから強引な営業をする、みたいな感じですか?

はい、確かに。私も正直、太陽光についてはあまり詳しくないのですが、やっぱりすごく電話がかかってきたり、大丈夫なのかなという不安があったりして、そういう押し出し方が全体的にあったんですよね。当時はそういう流れがあったと思いますし、今でも多少は残っていると思います。

そうですね。やはりどうしても印象が払拭できないというか、なかなか受け入れられない部分もありますね。

そうですよね。私も太陽光に直接関わっていたわけではないですが、代理店としてただ売っている会社が多いイメージがあって。本当に売るためだけというところが多い中、御社は元々電気工事業をされているということで、安心感があります。ただ儲けようという姿勢ではないということは、HPなどを拝見して感じていました。

そうですね。私自身、入社する前から御社の10年前の姿を知っていますが、その頃は確かに電気工事業としてトラブルは少なかったものの、営業の雰囲気がちょっとギラついていた印象はありました。稼ぐためのゴリゴリの営業マンが多いというイメージがあったわけですよ。

それは非常に感じますし、周りにもそういう方がいるのを知っています。

ですが、今のスタッフはメインが20代ですし、営業もだいぶ変わりました。私は統括する人間で50代なので少し違う世代ですが、若い社員たちは「どうすればお客様のためになるか」を考えて行動しています。
オーナーからも「単純に高く売るな」と言われており、適正な利益を取ることは大事ですが、不当な価格設定はしない方針です。

といいますと?

訪問販売などでは営業マンに高額なマージンがつくので、その分価格を上げざるを得ません。代表もよく言いますが、「物には適正価格がある」と。特に太陽光は売った後が長く続くものなんです。

確かに、一度設置したら終わりではなく、その後のフォローも大切になりますよね。

そうなんです。太陽光パネルには最低でもメーカー保証が25年ついています。つまり、25年間は基本的に壊れない設計になっていますが、その間、フォローが必要になるケースもあります。これは住宅営業と同じで、1回売って終わりではないのです。

なるほど。それは確かにお客様としても不安ですもんね、

弊社は今年で創業30周年を迎えます。横須賀に根付いた企業で、特に「横須賀市全体に太陽光パネルを設置すること」を目標にしています。「三浦半島を再生エネルギーの街にしたい」という思いがあり、おかげで小中学校23校に施工した実績もあります。

それはすごいですね。

その実績のおかげで、神奈川県や他の自治体からもうちみたいに大きくない会社でもよく相談が来るようになりました。広島県や山梨県などからも依頼があり、出張してコンサルティングを行い、来期からの施工計画も進めています。ただ、有難い話ではあるのですが今は人手が不足していて、その確保が課題になっています。

依頼が多いからこそ、人手が不足してるんですね。

そうです、将来的に2030年〜2050年を見据えて、継続的に私たちがやっていることやっていきたいことを意思を持って広げてくれる方と一緒にやっていきたい、というのが今の考えです。

なるほどです、営業の方は若い方が多いんですか?

そうですね。東京本店の法人営業チームは現在4名で、30代が1名、あとは20代です。横須賀の営業は正社員2名で、1人は21歳、もう1人は26歳です。60代の嘱託社員も1名います。

営業の方々は、皆さん経験者として入社されたんですか?

いえ、必ずしもそうではありません。21歳の社員は高校卒業後、当社が1社目です。未経験ですが、一般家庭向けの営業をほぼ1人で担当しています。

なるほど。それはすごいですね。その他は営業経験の方ですか?

一方で、26歳の社員は元々ソフトバンクの店長をしていた経験があり、営業の経験はあるものの電気関係は未経験でした。現在は法人営業で行政をメインに担当しています。

訪問販売からコンサル営業へ、進化する販売手法

太陽光の営業のイメージですが、難しいイメージがあって、、営業の難しさと、逆にやりやすさや楽しさはどんなところでしょうか?

弊社の場合、法人のお客様も個人のお客様も同じなのですが基本的に紹介で広げているので、飛び込み営業や電話営業はほぼしていません。
ご紹介いただいたらGoogleマップで事前にお客様の屋根の状態、例えば影であったり、方角であったり、屋根の種類だったりを確認し、発電効果や回収期間を簡単な概算でお伝えすることができます。

それは便利ですね。

さらに、神奈川県の共同購入事業の指定業者にもなっており、お客様が興味を持ってアプローチしてくる形なので、簡単な概算だけお出しして「もしご興味があれば、現地調査でもっと詳しくお出ししますがいかがでしょうか?」と確認する方法なので、無理な営業をする必要がないんです。

それは営業しやすい環境ですね。

もちろん、専門知識があった方がお客様も安心していただけるなどはあるので、その部分はみんなが理解して自主的にやってくれていて、そもそもカリキュラムもどんどん作っていて社員がお客様に価値提供できる様にしていっている最中です。
そうですね。反響があったお客様に対して、しっかりメリットがあるかヒアリングしていくのですが、メリットがないお客様もいるのも事実です。
例えば、屋根が特殊で太陽光パネルの枚数が1〜2枚しかつけられないお客様はメリットがないです。太陽光パネルって3枚以上つけないと全く意味がないんですよ。
他にも孫のためにつけたいと相談くださるのも非常に有り難いのですが、築40年以上経っていると耐震の関係で法律上、太陽光パネルを乗せてはいけない、などあります。
なんとかならないか、と相談いただくと、うちでは行政での事例などが豊富にあるので、出来る方法があってお客様に喜んでいただけるものがあれば、ご提案する形です。

なるほど、そういうこともあるんですね。

やっていることはコンサルティングなので、理由やどういう使い方をするかや現状がどうなのかをお伺いして、課題などに対して、自社でできる様々な知見や方法などを活用して、お客様の課題を解決するお仕事ですね。

まさに押し売りではなく、コンサルティング営業ですね。

そうですね、反響型の営業に会社として変えているので、こちらから「どうですか、どうですか」という営業をする感覚ではないですね。

御社の場合は、実績であったり、神奈川県の指定業者になったりしているからこそ、お客様に信頼していただきやすく、納得していただきやすい様に感じました。

まさにですね、横須賀市内ではあればポートマーケットというところや、猿島っていう離島があるのですが電気が通っていないので、そこの最低限の電力を賄うために太陽光パネルを弊社が入れていて、神奈川県や横須賀市内でしっかり実績があるので、そのあたりの信頼は非常に高いかなと。

スポンサーや部活動など仕事の以外の取り組み

御社はスポンサーであったり、その他の社外の取り組みであったり、たくさんされているのを拝見しましたが、、

やっていますね。今年は横浜ベイスターズがああいうことになったのですごいことになっていましたけど。(笑)
ちなみに、うちは横浜スタジアムにも太陽光をつけているんですよ。

野球好きでよく見に行くので、探してみます(笑)
ベイスターズのスポンサーは、昔からですか?

そうですね、昔から公式スポンサーとしてやっています。社長は野球好きではなかったのですが、何かの瞬間にハマったみたいで、そこからです。

自分の会社がそういうことをやっているのって、ちょっと嬉しいですよね。

そうですね、その他だとうちには「eスポーツ部」もあって、eスポーツもやる人も結構います。部活動としてやっていますね。
たまに試合とか出て、強いところと当たって大変なことになっていることもあります。

めっちゃ面白いですね

そういうのはやりたい人だけやってますね。他にも社内で女性がリーダーをやっているのが「AI部」で、2週間に1回お昼の時間帯にAIの使い方などその辺りのリテラシーをあげようっていうのが目的でやってますね。
やりたいことがあれば、結構できる環境ですね。

発足はやりたい人が声を上げたら、社長が「やりたいなら、やりなよ」という形でしょうか?

そうです。

従業員の方と社長の距離は近いんでしょうか?
お話する機会はありますか?

ありますよ。社内にいればフランクに話しますし、3ヶ月に1回は1on1で面談する機会もあります。
そういう意味では、私も入社して思ったのですが「人材育成」にものすごいおお金をかける人なんですよ。

どういうことですか?

自己啓発などの高いセミナーに管理職だけ行ってもらうのではなく、社員全員行かせるんですよ(笑)
ものすごい経費がかかる話ですが、それだけの思いを従業員にはしてあげたいって想いのある社長ですね。

太陽光の未来と2030年に向けた展望

人柄を非常に感じます。逆に御社や業界のデメリットなどはありますか?

ただ、太陽光の営業には未だにネガティブなイメージがつきまといます。その払拭が課題ですね。
弊社も10年前はテレアポをやっていたんですが、今の時代はそれが無理ですね。人がやめちゃいます。
これは実際に話をしないと伝わりにくい部分ですね。
また、人材確保、特に営業職の採用には苦労しています。弊社はマーケティング部門を強化して、反響営業の仕組みづくりも進めていますし、代理店との連携や、役員が様々な会合に参加して情報収集するなど、新しい仕組みを作っていっています。

確かに、私も話を聞いて印象が変わりました。

実は太陽光は今、バブルのような状況なんです。2030年までのロードマップがあり、その先2050年までの計画もあります。日本の再生可能エネルギーの自給率は15%程度で、ドイツの35%と比べるとまだまだ低い状況です。
原発の問題もありますが、それとは別に太陽光発電の普及は必要不可欠です。国や県が積極的に推進していて、これからますます需要が高まっていくと考えています。

若い方々の太陽光発電に対するイメージはどうなんでしょうか?

若い世代は、SDGsの教育を受けていることもあって、再生可能エネルギーに対して前向きな印象を持っています。むしろ、中年世代の方が、過去の太陽光発電バブル期の印象が強くて、ネガティブなイメージを持っているかもしれません。
最近では、ペロブスカイトという新しい太陽電池の開発も進んでいます。キャンプなどで使える薄型のパネルですが、これは日本発の技術なんです。残念ながら、従来の太陽光パネルは中国企業が市場の80%のシェアを持っていて、日本企業の多くは製造から撤退しています。
しかし、この新技術により、将来的には家の壁に塗るだけで発電できるようになるかもしれません。そうなると、また市場が大きく変わってくるでしょう。

面白い市場ですね、、

我々としては、どうやってお客様に正しく理解してもらうかが重要だと考えています。YouTubeなども活用して、社員の姿を見てもらうようにしています。

なるほど、確かに動画だと伝わりやすいですね。

はい。ですので、もしお力添えいただけることがあれば、ぜひお願いします。

もちろんです!私自身、お話を聞いて太陽光業界のイメージが変わったので、多くの方に知ってもらいたいと思いました。
本日はありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

今回の対談を通じて、太陽光業界が単なる「売るビジネス」から「コンサルティング型の提案ビジネス」へと進化していることがよく分かりました。特に、若手社員の活躍や自治体との連携による信頼性の向上など、今までのイメージとは異なる実態が見えてきました。

太陽光業界はまだまだ進化し続けています。2030年、2050年に向けて、再生可能エネルギーの未来を担う人材がますます求められることでしょう。ぜひ、この対談が業界への理解を深めるきっかけになれば幸いです。